結婚 家庭づくりの知恵
結婚適齢期

適齢期の考え方

結婚適齢期ということばがあります。
もうそろそろ、あれも嫁をもらわなけれ ばとか、嫁にいってもよい年だというよ うに、一般に、年齢を結婚の大事な条件にし ているのは事実です。 今でも、女は二十一才までに嫁入らなき ゃなどとまじめに考えている人が、都会に だっているのです。

年齢というものが、結婚にとってそんなに 大事だというのはなぜなのでしょうか。 どうも、若い嫁をもらつたほうが家風に 合わせやすいとか、いい年をして、嫁がな いとはみっともないなどと、ばく然と考え てのことだったようにも思えるのです。しか も、このことが、女性の側により多く要求さ れたのはなんといっても男性の一人よがり、 つまり、もらわれていく女性の弱さからきた のではないかと思われます。

では、現代の科学的な考え方のもとでは、 適齢期などを無視して、法律の許すかぎり早 く、あるいは好きなようにおそく結婚しても よいでしょうか。

結婚適齢期と結婚可能期間

宮武氏は、結婚の年齢に ついて、こんなふうに言つています。 私の結婚の考え方では、適齢期という ものはない。しかし従来の結婚は子どもを産 み育てることが第一の目的と考えるならぼ、 結婚には適切期があるといえるだろう。若さ で子どもを産み、教育することの必要さと限 界とを考えると、男女の適切な年齢というの はたしかに考えられる。 しかし、私のように、結婚は二人の共同生 活による喜びと、人間的完成が目的だと考え るとき、人間はいつだって結婚可能期にある のだ。適切期と可能期とは、はっきりと区別 して考えたい。 昔から、男性には、この区別がはっきりし ていた。ところが女性だけは、オールドミス などといわれた。これは男の側のつごうのよ い考え方によるものだろう。

女性が適齢期がきたから、自分を片づけな ければ、と考えるのは、自分を不幸にする原 因だ。(もっとも、それでしあわせな結婚をす る人もたまにはあるが)本人までが適齢期に しばられて自分を売り急ぎ、価値を下げてま で結婚しようとする必要はないと警告し ています。

親になるために児童心理学の品川孝子さん は、日本の今までの教育では、人間関係 のあり方についての心構えが乏しい。家庭の いくべき道とか、親とはどういうものか、人 間の基本的責任は何かなどということがわか っていない。だから、ごく若いうちに結婚す るというのはどうだろうか。

おむつのあて方やおふろの入れ方などは、 本を読めばすぐできることだが、人間の問題 はそう簡単には身につくことでないのだ、から と、心の面でも親としてりっぱにやって いける、精神年齢から割り出しての、結婚年 齢の設定です。 事実、あまりに若いおかあさんの育児には 失敗が多く、また逆に、年をとりすぎたおか あさんの子どもにも、問題児が多いことを指 摘しています。

結婚したくなったときに結婚すればよい と年齢無視論をいう人もあります。また、男 女の平均寿命や、性のあり方の違いから、ニ 十代の男性は、年長の女性と第一回の結婚を し、その後、若い女性と第二の結婚をしたら どうか、と提案をしている人もあります。

何で結婚適齢期をきめるか

ここで専門家の押鐘篤氏(日大教授医学博 士)の意見を聞いてみることにしましょう。 押鐘氏は、結婚年齢はほとんど無限だ が、結婚適齢期ということになると、ない という説には反対だとはっきり主張する 方です。医学的には、どこまでも適齢期ー 結婚に適する理想の年齢ーがあるとの意見 です。

押鐘氏によれば、結婚して、うまくいくと いう年齢は、限られた層に集中することは当、 然です。 では、何をもってこの年齢層を限ったらよ いでしょうか。 押鐘氏の考え方では、肉体的、心理的、社 会的(経済的)の三っの条件がうまく交差した ところが、適齢期だとするのです。 社会的条件は、個人的に違いがあるが、統 計的にいえば、だいたい日本の基準がわかる でしょう。

肉体の条件 さて、肉体的にはどうでしょう か。もちろん、若いほうがよいという答で す。しかし、無制限の若さではありません。 なぜなら、男女とも(特に男性は)二十才以 下でも性的エネルギーは活発だが、しかし若 すぎて、相手(特に男性が妻に)と協調してい く、内面性ー人間ができていません。 性欲の満足ばかりに急で、結婚生活を営む という高度のことはできないのです。 さて、性的エネルギーを支配するのは、男 女とも、自分の体内で作られていく男性ホル モンと、その手前の状態の、ある未知なもの (さまざまな段階を経て男性ホルモンとなる) によるのですが、この力は男性では二十代の 後半が最も強いことがわかっています。 つまり、性欲をつかさどる素質を生理的に 多く作る年代は、男性では二十代の後半、女 性では、平均的にいって二十代の前半だとい えます。

押鐘氏自身の体験でも、この時期に最も性 的な悩みをもったということです。 逆に、この年代で結婚した夫婦を見ると、 夫婦の争いも少なく、離婚数も少ないことが たしかに報告されています。 また、キンゼーの統計によっても、二十ニ ~ニ十五才で結婚した女性は、遅れて結婚し た女性より、性の快感を早く覚えることがわか かりました。朝山新一氏は、この早さを、二 十代では三ヵ月、三十代では半年くらいと報 告しています。 こういう肉体的な、自然生理の面からいえ ば、女性は二十代の前半が適齢期だといえる のです。なお、安産の率の高いのも、当然こ の年代です。

結婚の心理的条件

次に結婚の心理的年齢を考えてみまし ょう。これは、結婚したくなる年齢です。結 婚せよとすすめてみても、結婚したくならな ければ、だめです。親から独立して家庭をも ち、子どもがほしいという気持がわいてきた とき、これが心理的な適齢期です。 人間は、性欲だけによって結婚するのでは ありません。性欲にかりたてられたからとい って、結婚できるものではないのです。これ も押鐘氏の体験では、三十才前後に、友人が 親になるのを非常にうらやましく思ったそう です。

経済的条件

 次が経済的な条件です。ここで 未婚の青年に対して主婦の友社が行なった最 近のアンケートによって見ると、彼等の希望 年齢は二十七・二才と出ました。(相手は二~ 五才年下の女性) この年齢を考えているのは、主として経済 的な理由からだというのです。大学卒業者で いわゆる一流会社の社員である青年たちも、 (いや彼等こそ)二十八~三十才にならなけ ればとても結婚はできないといっています。 たとえ肉体条件、心理条件がそろおうとも これでは迷わずにはいられません。 ともあれ、こうした各人の条件の違いがあ るのですから、自分の適齢期は、自分で見出 さなければなりません。 各人の、肉体の内部的要求、家庭をつくり たい気持、経済力、この三つが交わるところ にその人の適齢期があるわけです。