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恋愛から結婚へ
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婚約中の交際
二人だけの交際
話し合う期間
婚約期間が、結婚しようとする二人にとって、貴重なものであることは、だれにも異論がありません。真剣な婚約者どうしであるならば、どういう態度で二人が結婚生活へ出発していくか、生活の方針を話題にして考え合うだけでも時間の足りなさを感じるでしょう。婚約中は時間がもったいなくて、映画を見る気にもなれなかったと農村の青年が話しましたが、それがほんとうの婚約者どうしというものでしょう。ところが、二人のデイトといえば、いつも映画館へ行き、お茶を飲んで過ごすように考えている人たちもいます。
また、家庭でも、映画館にいるならば、二人きりにしておいても安心だ、などと思っているのです。
二人きりの時間と場所:
石垣純二氏(医学評論家、医博)は、「映画館で婚約時代を過ごすくらいバカらしい話はない。婚約者は、二人だけの時間、二人だけの場所をなるべく回数多くもつべきです」と言っています。たしかに、映画館で肩を並べれば、二人でいることになりましょう。しかし目的は映画であり、周囲には混雑があって、決して二人だけの場所、時間、というわけにはいきません。こんなところで何度デイトを重ねてみても、結局はむだな時間を過ごしていることになります。たとえ、薄暗く、一見静かな喫茶店にすわっていても、二人だけの話をつきつめてすることができるでしょうか。フッと気分が散漫になり、落ち着いて話に身を入れられないのが普通です。石垣氏は、「ほんとうの婚約者なら、できるだけ人のいないところに足が向くのが自然だ」とも言います。石垣氏のすすめるデイトは、静かな公園での散歩や郊外へのハイキングなどです。だれにも妨げられない環境で、思う存分二人の意見の交換をすることこそが望ましいと思います。今は、そんな家庭はないでしょうが、昔は婚約者に弟妹をつけて外へ出すような家庭がありました。こんなことも、婚約者どうしには迷惑な話です。もちろん、ときには兄弟たちと遊ぶ場合があるのは結構です。しかし、そのような形の交際だけでは、内容のある婚約期間にはなりません。また、婚約者どうしが、二人だけでは気まずくて、だれか第三者をそばにおきたいようならば、それはまだまだ結婚にはほど遠いので、もっと交際を重ねてからでなくては危険です。「結婚をしてしまえば好きになるさ」などと大人が言いますが、もちろん今よりもっと違うよさを見つけて好きになることはあるでしょう。しかし、「今は二人で歩くことがどうもぎこちないけれど、結婚式の明日からは、そのぎこちなさがすっかりとれてしまうだろう」などと考える人は、あまりにものんきなお人好しです。こんな人たちにかぎって、結婚式のやり方まで親まかせにしておき、いったいどんな家庭を作っていこうとしているのか、希望も理想も、あるようなないような、きわめてあいまいな気持しかもっていないものです。
好きになるための期間
ところで、家庭の基礎について話し合うこと、これもデイトの重要な目的です。が、あるいは、婚約者どうしもはっきりとは気づいていないかも知れない、もう一つの貴重な目的が、デイトには含まれています。それは何かーそれは、婚約者の二人が、デイトを重ねるうちに、互いの魅力を発散し合い、好きになり合うための手段だということなのです。
さっきもいいましたが、結婚すれば好きになるさというのは、ほんとうはまちがっているのです。婚約中に魅力が感じられない相手なら、結婚しても決してうまくやっていくことはできないでしょう。石垣氏ははっきりと、「婚約期間というのは、互いに性的魅力を発散し合って、結婚への欲望を高め合う期間なめだ」と言います。そして、もうこれ以上がまんできないという高まりきったとき、はじめて結婚式に臨めば、しあわせな結婚生活を始めることができるのだ、とも教えています。この場合、性的魅力とは、狭い意味の、単なる肉体的魅力ということではないのです。精神と肉体とから発散する人間的魅力という意味です。だから石垣氏は、この期間中は、自分のもっている、あらゆる魅力を、全部相手にぶちまけなさいとすすめるのです。魅力の生まれてくるもとは、楽しい豊かな話題であり、顔の生き生きした表情であり、身のこなしです。男女とも、意識して魅力を発散させることが、婚約中には必要なのです。そして、互いの心身の欲望を高めていかなければならないのです。これがうまくできさえすれば、性格の相違などということは、あまり問題ではないと石垣氏は言っています。結婚生活をうまくやっていくのに必要なことは、性格の一致ではなくて、お互いに魅力を感じ合っているかどうか、ということなのだそうです。
婚約解消も
婚約の期間は、まず三ヵ月~半年くらいでじゅうぶんでしょう。もし、一年も二年も交際をしていながら、いつまでも結婚への気持ーどうしても結婚したいという欲望ーがわかないならば、それは不幸にも見込みがありません。もうこの先つき合ってみても、結果は同じでしょう。こうなったら、二人はいさぎよく別れたほうがよいーと、これも石垣氏の忠告。婚約をみんなに知らせてしまったのに、今さらとか、婚約を解消したら、あとあとまで彼に恨まれやしないかとか、結婚してみれば、案外うまくいくかも知れないといった、メンツや根拠のない希望にまどわされるのはいけません。婚約は、結婚へまで到達させたいものですが、しかし、ときには解消を決心しなければならないこともあるのです。もし二人で解決がつかないなら、年長の第三者に相談してみましょう。相手を傷つけず、よくわかり合って別れたいものです。この勇気が、どちらにとっても、結局しあわせをもたらすのですから。
みんな恋愛結婚
婚約期間が進み、いよいよ結婚しようというときには、二人は相手の歯ブラシを、平気で使えるくらいの親近感をもつものだ、と石垣氏は言います。たとえ見合結婚から始まっても、結婚式へ臨むときは、みんな恋愛結婚であることが望ましいのです。
婚約者の接吻
さて、ここにこんな問題があります。
S子さんは、見合いをし、何回かデイトを重ねて婚約をしました。そんなある日のデイトで、彼は、急に接吻を求めたのです。S子さんはゾッとして彼を拒否しました。家に帰ってから、考えます。婚約中に接吻をするのはよいことだろうかまた、もっと心配なのは、〃彼の接吻を受けられなかったのは、彼をほんとうに好きでないからかしらと。私たちのおとうさんやおかあさんの時代には、接吻はもちろんのこと、手を握ることさえ婚約者の間では考えられませんでした。今は、腕を組んで歩かないカップルのほうが珍しいかも知れません。しかし接吻となると、そう簡単にはいきません。ここでまた、石垣氏にご登場を願いましょう。石垣氏は、「接吻をしないような婚約者は、少しおかしいのではないか、と私は考えています。接吻は、握手とそう変わらない行為です。これにこだわりをもつというのは、どちらかが心身ともに未成熟だからだといえます。接吻を許す許さないという考えが、こだわりのある証拠なのです。接吻は考えてすることではなく、二人の気持が高まったときに自然にやってしまうことなのですから。ただ、一方がまだそういう気持になれないときには、それを無理じいすることはいけません。相手も同じ気分の高まりにまでいきつくようにリードして、徐々に進んでいくのです。たとえ自分がその気持であっても、相手がどんな気持なのか、目の光りや表情、動作で敏感に受けとって、行動に移すだけの、デリケートさがなければいけません」これは、特に男性に聞いていただきたいことばだと思います。なお、石垣氏は、「家庭裁判所の離婚の原因を調べてみると、性的不調和がいちばん多い。また婦人のノイローゼの原因は、夫婦生活の最初の一幕がうまくいかなかったことにある場合が多いことがわかった。男女の性生活は、人間の行為のうちで、いちばん微妙で、ショッキングなものなのだから、これが心に傷を与えるような形で行なわれるのは恐ろしい。夫婦の人間関係が一生うまくいかないことさえある。
男女、特に女性が、ろくろく肉体の刺激を受けずに結婚生活へ入ることは、こういう原因を作りゃすい。二人が魅力を発散し合いながら、刺激をし合いながら、その果てに結婚式場へ行くことが望ましい。婚約期間の真の意味はここにある」とさえ言っています。
二人の限度
肉体の刺激、つまり接吻などがそれです。しかし、こういう考え方を聞いて、「若い人をそこまで放任してしまうと、自制がきかなくて、最後までいってしまうのではないか」と心配するおかあさんもたくさんいることでしょう。たしかにそれは心配です。だから、おかあさんたちも、婚約者自身も、婚約者に許される限度をはっきりと頭の中に入れておいて、婚約者は自制するし、おかあさんは、自制力の弱い若い人たちの安全弁になってほしいのです。婚約者に許されるのは、最後の一線を越さないところまで、ということです。なぜ?とお聞きになりますか。詳しいことは、後の性生活の項をよく読んでいただきましよう。一例をあげていうならば、男性は欲望を遂げてしまうと、相手に興味を失うものであり、逆に女性は執着が強くなるものだからです。女性が、「彼に捨てちれないために、許したのに::」と悲嘆にくれていることがありますが、これは、彼を引きつけようとして、かえって彼を去らせてしまった愚かな思い違いなのです。
旅行をしてもよいか
しかし、私たちは、衝動には実に弱いのです。「自分を信じている」などと、自信たっぷりでいても、それがどうなるかわからないくらい弱いものなのです。婚約者は、その点ではいつも自分に不信をもっていてください。そして自制心を失いそうな、失敗を侵しそうな環境に自分をおかないことなのです。たとえば、二人きりでへやにいるとか、旅行に行くとか。欧米のように、小さいときから男女交際が盛んにされているところでは、婚約者どうしの旅行も許されていますが、日本ではまだ無理です。もし、相手が誘うようなら、はっきりと自分の考えを述べてください。断ったらきらわれるだろうか、とか、こんなことくらいだいじょうぶよ、私も自信があるし、彼は紳士だし、などど思うことは大まちがい。もし断って離れていく相手なら、それは離れてくれたほうがよいくらいのものです。おかあさんは、婚約者たちに対しては、ある程度放任しておいてもよいのですが、しかし、妊娠の事故などを起こさないように、という注意ははっきりと口に出して言っておかなければいけません。肉体的な刺激を、私たちはこんなふうに考えて、婚約期間をまちがいなく、有効に過ごしたいものです。
二人の間のエチケット
もし約束の日に気分が悪かったら:婚約期間は、お互いが自分の魅力を発散し合うときだと言いました。また、婚約者は、自分の美しいところ、すぐれているところを、できるだけ相手に印象づける必要があるのです。最も魅力的なとき、それは男女とも健康なときです。健康なときには、顔色もつやっやと美しいし、第一よく気がつき、相手のことを考えてあげられます。
反対に病気のときーこれは婚約者にとって最悪のときです。
約束を変更することは、ちょっと考えるとエチケットに反するようですが、しかし、最悪の自分を見せることは、もっとエチケットに反します。いさぎよく約束を変更すべきです。もちろん、黙ってやめてしまわずに、ちゃんと連絡はとってください。デイトの場所に気をつけて:グレン隊などにおどかされそうな場所や時間を選ぶのはもちろんいけません。また、これは、特に男性に忠告したいのですが、郊外へ行ったとき、手洗いのある場所で休憩をする配慮を忘れないでください。また、自分はどこでもといって無遠慮に生理的要求を満たさないこと。そのために婚約を棒にふった、気のきかない男性がいます。
相手に負担をかけるな・・経済的負担ばかりではありません。気分の負担もです。たとえばデイトの先で気分が悪くなったとき、「気分が悪くなったわ」と相手に知らせることは、相手まで不快にすることなので、慎しみたいのです。また悲しいことは二人で、などと思い違いしないこと。自分の悲しみを婚約者には知らせないのがエチケット。こういう心づかいは、夫婦の間でもあるべきだ、という心理学者もあります。婚約中は、相手の心を暗くするようなことにはふれないのが、二人の問のエチケットです。
二人を慎しむ・・重ねて、ここでも申しましよう。ご人がどんな親しみ合っても、婚約者どうしの一線を踏み越さないこと。そして、相手を尊重する、ほんとうの思いやりを持ち合って、よい婚約時代を過ごしましよう。(石垣純二ほか)
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